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おかあさ~ん

 「おかあさ~ん」と呼ぶ声。子供のいる家庭なら、よく耳にする声。明るい声、甲高い声、小さな声、怒った声、泣いている声、甘えている声...。母親なら自分の子供の声は聞き分けがつく。「どうしたの?」と子供の側に寄り子供から話を聞く。1日何回、この声を耳にするでしょうか?私は毎日50回は呼ばれています。そんな声の持ち主、わが息子の話です。

第1話(幼児期)

 息子は来年高校受験をひかえた中学3年生。成績はとても自慢できないが、社交性もあり毎日友達と遊び放題の日々を過ごしています。そんな息子の生い立ちを少し振り返ってみます。

 生まれた時はごく普通。陣痛もなく破水から35分というスピード出産でした。乳幼児期はやんちゃで鼻水をたらすくらいの男の子。寒かろうが暑かろうがかまわず外で思いっきり遊びます。洋服はいつもボロボロ。お出かけ用と普段用と作業着の3種類ありました。長靴が大好きで1年の半分くらいは履いていました。自然の中がピッタリそんな感じの男の子です。

 幼児期の予防接種は大変でした。両親そろって行くのです。注射をする会場はそれなりに子供が泣いていて入った瞬間「やばい!」場所なのです。息子はもちろん逃げの体制に入ります。それを食い止めるために二人がかりなのです。よくある事ではないと思いますが、息子は医師に何度か噛みついています。看護師(保健婦)の方が出来そうにないので、またにしましょうと言うとまた出直しを何度も繰り返す事になります。予防接種は何種類かあるので、結構大変だった記憶があります。

 4歳になると幼稚園(年少)に入園しました。でも、毎日行くのはつまらないらしく、カメハメハ大王の歌にあるようにお天気次第なのです。雨の日は外で遊べないからでしょう。お絵かきや粘土、お遊戯などの遊びは嫌いなのです。幼稚園での母の日や父の日などのお絵かきは大きな楕円にオバQのように毛が3本。一応ゴマ2粒(目です)、輪ゴム(口です)はついていました。残念ながら耳はありませんでした。幼稚園の制服はドラエモンポッケ付きのスモック。帽子は嫌いで殆どかぶりらず、ポッケにはいつも砂が入っていました。運動会、お遊戯会がありますが先生がしっかりサポートしてくれてたようで何とかみんなについていってたようです。楽器は出来ず、竹筒をポコポコとたたいていました。

 食事に関しては好き嫌いが多く、マイブームが何度もありました。野菜嫌いはもちろんですが、気に入った食べ物は飽きるまで続くのです。例えばお茶漬け。朝昼晩お茶漬けなのです。そのほかのものも食べますが、メインがお茶漬けでおかずやフルーツはおつまみ程度です。祖母には「何でも食うんだ!」とよく怒られていました。そんな声は右から左に..です。マイブームがどうやって次のブームへ移行するのかはわかりませんでしたがやってくるのです。ご飯にのせて食べる簡単なものが好きなのでしょうか。「いくら」がブームの時はさずがに困りました。4世代同居だったので和食中心なため、子供ながら自分が食べられるものを選んでいたのでしょうか。それしか食べたいものがなかったのかな?と今思えば料理下手に反省しています。

 子供は眠いと食事中でも寝てしまいます。息子の昼寝で大騒ぎした事がありました。天気のいい春の日の午後。外で遊んでいた息子を気にとめつつ家事をやっていました。うちの裏に2台ぎりぎりすれ違える道路があり、家の前は畑が広がる田舎の雰囲気。玄関を出て息子の名を呼びました。返事がなく夢中で何かやっているのかと、いつも遊んでいる場所を探しました。いません。あれ?まさか道路に?勝手に出歩いてはいないと思いつつ、ひととおりご近所を見てきました。やっぱりいません。家に帰ると窓の下に靴が。ほっとして家に入って息子を呼んでも返事がありません。いるはずなのに?と家の中をぐるっとみてもいません。祖母たちが連れて行くときは声をかけてくれるのでその形跡はなし。まさか、誰か別の人の靴を履いて出かけた?と注意して調べましたがその形跡もなし。どこ?うちの子が誘拐??金持ちでもないしまさかね..。じゃ、どこ?数時間かかって、夜やっと見つけました。息子がいた場所は、押し入れの中の積み重なっている布団の隙間。押し入れの戸を開けただけでは見つけられませんでした。布団の間にはさまって寝ているとは想像出来なかったからです。息子の頭は2列の布団の山の間にぽこっと出ていましたが、中がだいたい見渡せるくらいしか戸を開けていないので死角になっていたのです。警察にお世話になるかどうか判断ギリギリで発見しました。近くに池や川などがあればもっと大騒ぎしていたことでしょう。

 息子の得意な遊びは外遊びですが、しつこいまでに集中するのが破壊活動です。こわれた電気製品などは、かなづちでガンガン破壊します。部品の形が面白いらしく宝物になったり爆弾になったり。曲がった物をたたいて平らにする鍛冶職人さながらの遊びです。粗大ゴミなのですが、粗大ではなく箒でかき集める金属ゴミになります。捨てる物はもともと1個で手間はなく捨てられるはずなのに息子にかかれば掃除しなければならないのです。石ころなんかもかなづちで割ってしまいます。割ったからどうなのか?と大人は思いますが、何か感じ取るものがあるのだと信じてやり放題にしました。石も砂利に大変身。

 子供がよくやる落書きやシール貼りはとことん注意しました。これもやり放題にすると同居だし親の家なので捨てられる物(ティッシュ箱)にしかダメという事に。興味がないのか、あきらめたのか落書きはあまりしませんでした。本にペンで変な線は書いていました。家でのお絵かきはしても意味不明な作品なので、今となっては何の絵か思い出せません。

 山登りは大好きで、近所に住む親戚のおじさんを祖父がわりによく登っていました。そのおじさんには孫がいなかったので、仮の祖父と孫の関係を楽しんでいたようです。ただ、おじさんは息子から見るとおじいちゃん(白髪、シワ)には見えなかったらしくフルネームで呼び、したっていました。おじさんは面白い子だなあと、よくからかったりお出かけに連れて行ってくれていました。山登りの様子はと言うと、ひょいひょいマイペースで見ているおじさんは怪我や行方不明などを心配してドキドキだったようです。人なつっこい面があったので、お年寄りの中にいても困らず温泉、登山、旅行について行きました。訳もわからず一人前の事を言うらしく、楽しかったという話を聞かされました。

 そんな息子は明るく何もおそれず元気に育っていました。マイペースでひとりぼっちでも気にしない。ただ、好き嫌いのハッキリした性格が芽生えてきました。いやなことは我慢できないのです。めいっぱいだだをこねて息子なりに危険回避?します。正義感も出てきました。悪いことは悪いのです。だめなことはだめなのです。高校生が信号無視して横断歩道を歩けば「だ~めなんだ♪だめなんだ♪」としっかり抗議します。そんな男の子でした。

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